変形労働時間制とは、一定期間の間で労働時間を調整して柔軟に働くことができる制度です。働く時間を調整できる制度はほかにもフレックスタイム制がありますので本記事でそれぞれの違いを解説していきます。
従来の働き方では原則1日8時間・週40時間を超えて働くことはできません。それ以上働く場合には36協定を結びます。1日で8時間を超えた分は残業代として支払われることになります。
一方、変形労働時間制では一定期間(1年・1ヵ月など)の間で週平均で40時間になるように調整すれば労働時間を調整できる制度です。
例えば、第1週は1日10時間×6日(60時間)、第2週は6時間×3(18時間)第3週は7時間×6日(42時間)のように繁忙期・閑散期などに合わせて勤務時間・勤務日数を変更することができます。この際、従来であれば1日10時間×6日(60時間)の週で20時間分の残業となりますが、変形労働時間制の場合、決められた期間内の労働時間の合計で計算されます。上記の例の場合週平均40時間以内なので残業とはなりません。
ただし、労働日や労働日ごとの労働時間について休日カレンダー等を作成して、あらかじめ労働日と休日を確定しておかなければなりません。
働く時間を調整できる制度としてフレックスタイム制もあります。フレックスタイム制とは、あらかじめ企業が自由に出勤/退勤して良い時間(フレキシブルタイム)と必ず出社しなければない時間(コアタイム)を設定し、従業員が自由に出勤/退勤時間を調整できる制度です。
フレックスタイム制も変形労働時間制と同じように一定期間の合計労働時間で計算します。それぞれの違いは労働する時間を企業が決めるか、個人が決めるかという点が一番の違いです。
変形労働時間制の場合は、個々の事情に合わせて勤務時間を調整するのではなく繁忙期・閑散期など企業や部署全体の仕事量に対して調整されます。また、変形労働時間制の場合は所定労働時間が日・週で決まっていますので、それぞれで残業の計算が生じます。
一方、フレックスタイム制は個々が自由に出勤/退勤時間を調整できる制度です。その為、企業の繁忙期・閑散期という括りではなく通院や保育園の送迎、プライベートな用事などの為に調整することができます。
変形労働時間制は企業として合理的な労働を実現する制度、フレックスタイム制はライフワークバランスを向上させる制度というようなイメージです。
変形労働時間制の導入は下記のメリットあります。
繁忙期・閑散期などで所定労働時間を調整できる変形労働時間制は総労働時間(残業)の削減効果があります。所定労働時間が全て同じである従来の働き方では仕事量の少ない日でも8時間など勤務する必要があり、かつ仕事量の多い日はプラスαの勤務時間になるので総労働時間は増加しがちです。
一方、繁忙期・閑散期などでメリハリをつけられると仕事量の少ない日は短い勤務になる分、繁忙期に従来と同じ時間働いても総労働時間が削減されることになります。
また、企業としてみても、繁忙期の所定労働時間を多く設定することで残業時間が削減され、人件費の削減効果があります。
変形労働時間制の導入は勤怠管理が複雑になる点がデメリットとして挙げられます。1か月の変形労働時間制を導入する場合、月ごとの法定労働時間以内で、就業時間を定め勤務してもらいます。残業時間の計算を160時間が法定労働時間/158時間が所定労働時間の場合で考えてみましょう。
下記は所定労働時間です。
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1週目 | 8時間 | 8時間 | 8時間 | 8時間 | 10時間 | 42時間 |
2週目 | 6時間 | 8時間 | 6時間 | 6時間 | 8時間 | 34時間 |
3週目 | 10時間 | 9時間 | 7時間 | 8時間 | 9時間 | 43時間 |
4週目 | 8時間 | 8時間 | 8時間 | 8時間 | 7時間 | 39時間 |
実際に労働した時間が下記とします。残業をした日は赤文字となっています。
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 | 合計 | |
---|---|---|---|---|---|---|
1週目 | 8時間 | 8時間 | 8時間 | 8時間 | 10時間 | 42時間 |
2週目 | 7時間 | 8時間 | 6時間 | 7時間 | 8時間 | 36時間 |
3週目 | 10時間 | 9時間 | 8時間 | 8時間 | 9時間 | 44時間 |
4週目 | 8時間 | 8時間 | 8時間 | 8時間 | 8時間 | 40時間 |
上記の場合、2週目の月曜日・木曜日はそれぞれ1時間の残業をしていますが所定労働時間が8時間未満で実際に労働した時間も法定労働時間の8時間以内かつ週40時間以内なので法定内残業となります。
3週目の水曜日の1時間の残業は法定労働時間の8時間以内の残業ですが、1週当たりの労働時間が40時間を超えていますので法定外残業となり、割増賃金になります。
4週目金曜日の1時間の残業は法定労働時間の8時間以内かつ1週当たりの労働時間が40時間以内ですが、1ヵ月の合計労働時間が法定労働時間160時間以上なので、法定外残業となり、割増賃金になります。
1時間当たりの基礎賃金が2,000円だとすると、
となります。
この他にも、法定休日の労働や深夜労働など残業代の計算は複雑で管理が大変な点がデメリットです。
変形労働時間制の場合、上記のように複雑な残業時間を管理しなければなりません。1週間単位・1年単位と種類があり、アナログな管理では管理部署に膨大な負担を強いることになります。複雑な労働時間の管理に適した勤怠管理システム「MOT勤怠管理」を導入することで、管理の負担はそのまま合理的な労働環境を整えることが可能です。
当社の勤怠管理システム「MOT勤怠管理システム」では、複雑な労働時間の管理が可能。フレックス制にも対応しており、コアタイムの有無どちらのケースも設定できます。
MOT勤怠管理システムは、これ1つで出退勤管理から休暇管理・シフト管理まで網羅。 豊富な機能でも迷わず使える、シンプル設計のクラウド勤怠管理システムです。
MOT勤怠管理サービスサイト:https://www.mot-net.com/kintai-system/
機能① GPS情報の記録
スマホで打刻を行う際、時間とGPS情報を同時に記録。自宅に着いてから退勤打刻を行うなどの不正防止に効果的です。
直行直帰の多い建設業や、営業担当が多く在席している会社などで活用されています。
機能② シフト管理も効率化
役割ごとの過不足が簡単にわかるシフト管理機能が標準搭載。
専用のブラウザチャットも利用でき、シフト希望の提出依頼を自動送信したり、急な欠勤者の代わりを探したりする際に活用いただけます。システム上で簡単にシフトを組むことができ、シフト管理業務の効率化に役立ちます。
介護・小売・飲食など、複雑なシフト管理が必要な業界・業種でご利用いただいています。
シフト管理の詳細はこちら:https://www.mot-shift.com/
機能③ チャットで申請を確認、決裁
クラウド電話「MOT/TEL(モッテル)」と連携することで、時間外勤務・有休などの承認作業をチャット上で行うことが可能です。承認の度に行っていた管理画面へのログインが不要になり、スムーズな申請・承認を実現します。
チャット承認機能の詳細はこちら:https://mot-kintaikanri.net/function/mobile-collaboration/chat_approval/